寄 稿

最新技術で楽しむ「藤子・F・不二雄」の世界

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マンガというのは、紙など平面に描かれた二次元の世界である。読者である私たちはそれを目で見て楽しむ。だがその作品に愛着を持てば持つほど目で見るだけでない楽しみを求めるようになり、マンガはアニメ、フィギュア、舞台へと展開してきた。今後私たちは「マンガ」の世界をどう楽しむことになるのか。その一端を示しているのが、東京タワーで開催中(〜10/6)の生誕80周年記念「藤子・F・不二雄展」だ。目で見るだけではなく、マンガの世界が文字通り二次元を飛び出しているのだ。過去の作品と最新技術が組み合わさることで、藤子・F氏の世界の新しい楽しみ方の一端を示している。

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20世紀を象徴する東京タワーとドラえもんの組み合わせ

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まずは屋上の「55/80ひろば」から。どのドラえもんと写真を撮るか迷う

最新技術でマンガを表現する

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「SFシアター」では藤子・F先生も出迎えてくれる

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「プロジェクションマッピング」で過去の記憶と出会う

今回の展示の特徴は、過去の作品と先端技術の組み合わせだ。「55/80ひろば」のある屋上から階段を下りた4Fの展示フロアの最初のメーンが藤子・F氏の作品の主要キャラクターが出迎えてくれる「SF(すこしふしぎ)シアター」だ。一面は白い本棚のような壁と机。机の引き出しに吸い込まれた原稿を、キャラクターが追いかけ恐竜時代にタイムトラベル…… ストーリーはシンプルだが、次々とシーンが移り変わるのを目にすると、紙のマンガを読んだりアニメーションを見たりするのとはまた違う世界に出会った気持ちになった。特に原稿が飛んでいくときの紙のこすれる音、タイムマシンに乗っている間の風の感触。最新技術を使い五感でマンガを楽しんだ気分だった。

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貴重な原画が散らばってしまった

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なんと引き出しに原画が吸い込まれる

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吸い込まれた原画をタイムマシンで追いかける

このシアターに使っている技術は「プロジェクションマッピング」といわれるもの。(PingMagではしめじへのプロジェクションマッピングの記事も以前紹介)今回のシアターでは、「4Dプロジェクションマッピング」を使っており、でこぼこして見える場所に本棚が投影され、そこからさらにキャラクターが飛び出してきたのだ。

マンガが子どもから青年のものになった時代の象徴

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藤子・F先生にもなれる

4Fのフロアを進むと原画の展示と作品のワンシーンに入り込める「なりきりキャラひろば」などがある。どちらも藤子・F氏の作品世界に浸ることができる場所だ。ここで興味深いのは「ドラえもん」「パーマン」「キテレツ大百科」など子ども向け生活ギャグマンガの原画やその作品のワンシーンに入り込める「なりきりキャラひろば」と、青年向けの「SF短編マンガ」が並列に展示されているところだ。

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部屋の間の移動はどこでもドアで

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大人向けには「SF短編の世界」

藤子・F氏が活躍した時代は、ちょうど子どもから徐々に青年層にまでマンガの読者が広がり始めていた時期だった。藤子・F氏はもちろん子ども向け生活ギャグマンガの名手として名高い。これらは大人になってから読むと、子どもの時とは違う感想を持つだろう。だが彼はより幅広い読者層のアプローチしようとしていたのではないか——そう思わせるのがSF短編集だ。会場の「SF短編の世界」のスペースには主な短編作品の表紙が壁一面に飾られている。「ミノタウロスの皿」「みどりの守り神」「劇画オバQ」「パラレル同窓会」……どれもSFセンスにあふれ、なおかつ読者に「あなたならどうするか」との問いをつきつけるものだ。もちろん子供も楽しめるものであり、会場では熱心にSF短編の原画を読む子供もいた。

そしてこれらは、展覧会のタイトルにもあるように「藤子・F・不二雄展」——つまりほぼ藤子・F氏から生み出された世界なのだ。彼は5万枚の原画を残し、川崎市のミュージアムや今回の展覧会のもとになっているという。

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開催を祝う色紙は幅広い著名人から

展覧会の最後の部屋には、藤子・F氏が各インタビューなどで残した言葉と、今回の展覧会に寄せられた著名人からの色紙が飾られている。「藤子不二雄A」「曽田正人」「藤田和日郎」「松本大洋」らマンガ家だけでなく「福山雅治」「村上隆」「鴻上尚史」ら音楽やアートなど他分野からの色紙も多い。マンガ家の展覧会でこれだけ幅広い著名人からの色紙が集まることは少ない。藤子・F氏の作品が幅広い層に愛された証左だろう。

東京タワーという場所

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今回の展示は藤子・F氏の生誕80周年を記念して行われた

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インタビューの言葉は「仕事論」としてもぐっとくる

「藤子・F・不二雄展」は藤子・F氏の生誕80周年を記念したもの。藤子・F氏には川崎市に「藤子・F・不二雄ミュージアム」がある。なぜ専用のミュージアムがあるのに別の場所で展示会をするのか、それは彼の作品が東京タワーに象徴される昭和期、そして東京タワーそのものと切っても切れない縁があるからだ。その一端は、会場の入り口となる屋上から、4Fフロアに降りる途中の階段にさりげなく示されている。「東京タワーとF作品」がそれだ。各作品から東京タワーの描かれたコマを切り出し、壁に貼り付けてある。コマをみながら、どの作品だったかを思い起こすのもいいだろう。

ドラえもんの秘密道具「タケコプター」「フワフワオビ」、パーマン……「すこしふしぎ」を追求した藤子・F氏の作品で登場人物らは高い頻度で空を飛ぶ。その描写に東京タワーは不可欠だったのだ。いかに当時の読者にとって東京タワーのような高い建物を「越える」ことが夢だったのかがわかる。

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「東京タワーとF作品」空を飛びたいという夢は変わらない

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パーマンが飛ぶ背景にも東京タワー

藤子・F氏の描いた「21世紀」はどうなるのか——そんなことに思いをはせながら東京タワーや20世紀の作品を楽しんではどうだろうか。(bookish)

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最後はキャラクターらと記念撮影

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