寄 稿

新たなマンガの生まれる場所

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「マンガを描く人はみな、漫画家である」。マンガ好きは当たり前のようにこう考える。だが、マンガという表現はもはやマンガ家だけのものではない。アニメーターやイラストレーターなど幅広い表現者が自分の表現したいことに適した手法としてマンガを選ぶ時代なのだ。その動きを垣間見せるのが、「3331Arts Chiyoda」で開催中の「タマグラアニメとマンガ博」(3月9日まで)だ。元学校という空間に登場したマンガ作品は、書店で流通する作品とは違った魅力を見せ、マンガとは何かを考えさせてくれる。

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飾りつけは学園祭風

「タマグラ」とは多摩美術大学グラフィックデザイン学科のこと。卒業生に個性的な短編アニメーションの作家が多いことで有名だ。今回はこのタマグラを卒業しアニメーションを作りながら、マンガも描く新旧幅広い世代6人が集まった。(そのため隣の部屋では、のアニメ作品も放映。同じ人が作る、マンガとアニメという似て非なる表現を見比べてみるのもおもしろい)

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同じクリエイターのアニメーションも上映

元教室の会場に一歩はいると、壁全体に大判で印刷された6つのマンガ作品。これらはすべて今回のための書き下ろしだ。教室の奥にはそれぞれのキャラクターの立体像が並ぶ。元学校という環境とあいまって、レベルの高い学園祭にきた気分になる。

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元教室の会場でマンガを読む

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会場ではタマグラ卒業生の作品を実際に読むことができる

展示されている作品の、テーマや絵柄は6者6様だ。

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壁にはられた作品を読むという楽しさも

マンガ愛好家にとっつきやすいのは、クリハラタカシ氏の「夏の怪獣」などだろう。すらりとした線の絵でちょっとシュールな物語が展開されている。杉崎貴史氏の「亀」もデフォルメされたキャラクターが動き回るコメディタッチの作品で、手塚治虫氏や杉浦茂氏を彷彿とさせる。本人も子供の頃、手塚治虫氏や水木しげる氏の作品を読んで育ったという。

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クリハラタカシ氏の「夏の怪獣」

アーティストとして活躍する近藤聡乃氏の「さようなら」は男女関係がテーマ。繊細な線の絵柄からはひりひりと女性の葛藤が伝わってくる。

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近藤聡乃氏「さようなら」

しかし、いつもの紙の雑誌や単行本のマンガを読むつもりで作品に向き合うと、少し戸惑うかもしれないものもある。

たとえば久野遥子氏の「神の兄弟」。コマの時間の流れがすごく独特で、何度もコマとコマを行き来して、時間の流れを確認してしまった。

あるいは短編アニメーション「つみきのいえ」の手がけた加藤久仁生氏の「ともまち」。ひとつひとつの絵は絵本のようなのに、コマはきちんと時間を切り取っていて、時と場所の変化を感じさせた。しかもシャープペンシルと墨で描いたという。

みる順番は自由なので、かしこまらず自分の好みにあうものから楽しむのがいいだろう。

彼らにとってマンガとは何か。これに答えてくれたのが「歯クション大銀河」を発表したぬQ氏だ。

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ぬQ氏「歯クション大銀河」

アニメを作り、イラストもマンガもかくぬQ氏曰く「マンガは言葉のかけあいがおもしろい話を短くまとめるのに向いている」とのこと。確かにぬQさんが今回発表した作品も、アニメーションでは言葉が流れていってしまうし、イラストにしてしまうと言葉の掛け合いのおもしろさが見えてこない。

「ともまち」を発表した加藤さんも「動きで楽しませるアニメーションに対し、マンガは『止』を見せるよさがある」と話す。

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オープニングには多くの人が集まった

「マンガ表現はもはやマンガ家だけのものではない」-――不器用な人間は、自分の考えや世界を表現する方法はひとつだと限定してしまいがち。だが今回の6人は、アニメーション、マンガ、そしてイラストレーションというそれぞれの表現を自在に選択し始めているようにみえる。日本にマンガという表現が根付いた証でもあるだろう。

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会場外には落書きスペース

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会場外にも展示が

マンガ家以外がマンガを描き始め、マンガを描くことが、「文字を書く」「絵を描く」ことと同じぐらい一般的な表現方法になったとき、マンガはなにが表現できるのか。そこからどんな作品が生まれてくるのか楽しみだ。(bookish)

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会場は大学が卒業生のために借りたギャラリー
「タマグラアニメとマンガ博」概要
http://akibatamabi21.com/exhibition/
日程
2月1日(土)~3月9日(日)、火曜日は休み
開場時間
12:00~19:00(金・土は20:00まで)
会場
3331Arts Chiyoda 201・202(千代田区外神田6-11-14)

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