鬼さん、どちら

頭に角が生えている「鬼」のいる世界。彼らは三千人にひとりの確率で生まれ、「先天性頭部突起症」と認定を受け暮らしていた。鬼でない者は鬼に様々な種類の偏見を持ち、鬼は「可哀想な者」扱いされる自身を縛っていく。何ひとつ超常的な力を持たない鬼たちの存在により、日常生活に潜む様々な負の感情が引っ張り出される。恐れによる思い込みや小さな優越感などの厄介さに、心当たりがある人も少なくはないだろう。簡単に解決しない問題から自由になるにはどうすればいいか。シリアスに、時に温かくその術を教えてくれる作品です。各話のタイトルも秀逸。

文=kuu
マンガナイトではイベントのお手伝いと、執筆ちらほら。90年前後のなかよし、りぼんなどの影響をやや強く受けてますが、いろいろ読みます。好きな漫画家は、羽海野チカ、佐原ミズ。展覧会と舞台、可愛くて面白いものに心惹かれます。お茶とおいしいものにも。