2016年7月2日

がんばれ!パンダ内閣

つの丸
きゅんとした
パンダが首相になってしまった! かわいさの裏に政治への皮肉たっぷりな『パンダ内閣』

日本の総理大臣にパンダの赤ちゃんが選ばれてしまった、という異色な政治漫画が2004~2005年に「週刊プレイボーイ」で連載されていた。つの丸の『がんばれ! パンダ内閣』だ。
人気のない動物園に生まれたパンダ・シャオシャオ。特に芸を披露しなくとも、ゴロゴロ動くだけで大人たちは大はしゃぎ。パンダの赤ちゃんというだけで、世間から国民的スターとして扱われる。そこに目をつけたのが与党の民明党。急落してた人気を回復しようと、党首、つまりは首相にシャオシャオをスカウトする。
総理大臣任命式。「あーあー」とよだれを垂らしながら国会のマイクをボンボンいじる。会議でうとうと眠りこける。議事堂のなかを三輪車でキーコーキーコー移動する。か わ い い。大臣14人を園内の動物や飼育員ばっかりに任命しようとしたり、お堅い政治をパンダが自由気ままにおこなっていく姿にほのぼのする。
一方でシャオシャオを首相に仕立てあげた党の幹部たちは、「政治のことは難しいから私達に任せなさい」とつくり笑顔で迫る。もともとシャオシャオの前から、スポーツ選手や芸人など人気者を”客寄せパンダ”として首相にし、実権は自分たちで握るつもりだった。満州国の元首を幼い中国皇帝にすえおき、中国人の顔を立てながら、政権を担っていた大日本帝国の姿と重なる。
政界でパンダがのびのびゴロゴロ過ごす裏には、政治のイメージ戦略に対し皮肉がたっぷりつまっている。パンダにデレデレする議員や国民を客観的に見つめながら、自分は政治家に表面だけで振り回されていないかかえりみよう。
なお、作者のつの丸は、『みどりのマキバオー』『モンモンモン』と動物を主役に名作を連発してきた漫画家。デフォルメしたパンダの赤ちゃんはさすがにかわいい。そしてやっぱりモブキャラはみんな鼻の穴がでっかいし、フルチンです。

文=黒木貴啓
1988年生、鹿児島出身、東京在住のライター。マンガナイトでは執筆を担当してます。ロックンロール、もしくは仮面が題材の漫画を収集&研究中。大橋裕之「音楽と漫画」、榎屋克優「日々ロック」、そして何よりハロルド作石「BECK」……日本人が成したことないロックの魔法を漫画のキャラが見せてくれるところに、希望を感じてしまいます。