2015年4月9日

長い道

こうの史代
うなった

「この人とは仲良くなれるかも…!」そんな予感のした人が、すっと貸してくれたマンガ。不思議であたたかな読後感に、私もすっかり魅了されました。内容を一言でいえば「ある日突然夫婦になってしまったチグハグな男女の、ささやかで愛おしい日常」というところでしょうか…ただ、この漫画に流れる独特な空気は言葉で表現するのは難しいです。甲斐性なしで女好きの荘介どのと、天然に見えて心に抱えているものがある道。酔っ払った父親同士のノリで夫婦になってしまった、愛から始まったわけではない二人の生活が、一話3〜4ページの短編で綴られていきます。一切セリフなしで、日常がファンタジーのように広がっていく話もあり、自由で豊かな表現にくらくら。決して甘くなりすぎず、感傷に流れないストーリーも素晴らしい!

文=山口文子
1985年生まれ。映画制作を目指して迷走中。歌も詠む。マンガナイト見習いで、執筆などをお手伝い。 女子高時代、魚喃キリコの『短編集』をきっかけに、安野モヨコ、南Q太などフィールヤング系を読みあさる。その後、友達と「週10冊ずつオススメ漫画を交換する」修行を数ヶ月行い、興味のベクトルが全方向へ。 思い入れの強い漫画に『BANANA FISH』、『動物のお医者さん』、『ナンバー吾』。岡崎京子の影響を受け続けて今に至る。